今までずっと「着物」というカテゴリーで商いをさせていただいてきましたが、どうしてもニッチなくくりになってしまい、どこか閉塞感に似た思いになってきています。

 昔は日常生活の中に当たり前に「着物」が存在し、「着物」を扱うことが普通な世の中でした。その着物を今のニッチな中に置いておくことにどうしても私自身が違和感を覚えてしまっています。Kimono 唐草というのはニッチな商品を扱っているのではなく、もっと普通に「和」を生活の中に取り入れていくという業種、業態に変っていきたいと思っています。

 着物というのは、一つの反物から13のパーツに分かれそれらが合わさって初めて着物として扱われています。しかしそれは着物という「物」ではなく、「生地」という捉え方の方が自然ではないかと考えています。

 日本だけが「絹」という素晴しい上等な生地の上に金加工を入れたり、絞りを入れたり刺繍を入れたりします。素晴しい生地を手で作り上げていくこれらを、もっと多くの人に見てもらいたい、世界の人々に着物、生地、和文化を、日本の職人の技術を広めていける仕事をしていきたいと考えています。

 「世界に行け!」もっと外に出て行けたらと将来的には考えています。 そして、昔の生活の中にはあたりまえに「日本手拭」があったように、「和」の物が普通に生活の中にある状態を作りたいと思っています。それが「着物」でなくても「和」の物でも、Kimono 唐草のセンスに合う物であれば積極的に扱っていければいいと思っています。

 和文化を世界に発信していくこととは、ルイヴィトンのバックを普通に持っているように、日本手拭が当たり前の様に海外にある世界が素晴しいと思い、そんな世界を創造していきたい、ワールドスタンダードにしていきたいという壮大な夢に向かっていきたいと考えています。 決してそこに「片意地」をはって存在し、紹介されるものではなく、普通にファッションとして持っていていいじゃないかという領域にいければいいと思っています。

 資本主義社会、欧米化の波の中、日本人として忘れてしまった心も取り戻せるお手伝いがしたいと思っています。四季を大切にし、本来色を感じる力が優れている民族が日本人。物事をとらえる時に「ワビサビ」の心がわかる、奥行きを感じることが出来るのは日本にしかない世界観。そんな世界観を面倒くさい、邪魔くさいといった「合理主義」で片付けられてしまい、無くなってしまっている世の中で、着物や生地という日本人が手で作るものというのは奥行きがあるものが非常に多い。そういう世界観も併せて表現していきたいと思っています。